最期まで、君と共に

後天性 夜昼女体化

 そう、例えば胸とか下半身とか? 性別が変わったら気になるものは気になるだろうね、それなりに。でもそれは最初だけの話であって、慣れてくれば徐々に弊害が生じてくる。すなわち、「………重い、」「それ、なんかの嫌味か何かかなぁ、夜?」「嫌味じゃな…

夜→昼→鴆:偉そうな彼のセリフ / By 確かに恋だった

 好きなのだと言われた。家族ではなく、仲間としてでなく、一個人として、一人の男として君が好きなのだと、子どもはそう言った。好きだと言われることに嫌悪は無かった。けれどもそれが子どもへの愛だの恋だのへと繋がるかと問われれば答えは否、としか言い…

夜→昼→鴆:年上の彼のセリフ / By 確かに恋だった

『――悪ぃな、ガキには興味ねぇんだ』 そうこっぴどく振られたリクオ……もとい昼のリクオは一人、夢現の世界で黙々とふくれっ面を続行していた。相手はそう、鴆だ、あの莫迦鳥だ。告白する者がどれほどの勇気を振り絞って相手に想いの裡を伝えたのかを欠片…

夜昼:純粋じゃない彼のセリフ / By 確かに恋だった

 胸の奥でぐるぐるする淀んだ気持ちが嫌いだった。綺麗じゃない、浅ましい想いや願いを抱いている自分が恥ずかしかった。恋焦がれるほどに想いを抱く相手は、その男は自分と違ってあまりにも美しかったからより一層隠さねばと思った。ひとつがふたつ、ふたつ…

馬鹿親な鯉さんと子リクオ

 親というのは何だかんだと言って、子どもが可愛くて可愛くてしょうがない生き物であり、それがまだ小さい上に何百年と待ちに待った御子なら尚更のこと、子煩悩とならずにいられようか……いや、いられまい。まさにそんな子煩悩が服を着て歩いてるような御人…

奴良家と子リクオ

 一家団欒の真っただ中、ねぇねぇ、お父さん、と無邪気に子どもが口を開く。「今日聞いたんだけどね、ヒロシくんのところに妹が生まれたんだって! ヨシキくんは今度弟が出来るとも言ってたよ。ぼくも弟や妹が欲しいな。おにいちゃんって呼ばれたいよ。ねぇ…

鴆と赤子リクオの邂逅

 鴆は側近たちの目をすり抜けて呼びだした元主のところへと向かう。普段ならすぐに見つかりそうな場所でも、今日が今日であるがために本家の中はわらわらと人が溢れ、誰も彼もがあちらこちらへと行き急いでおり誰ひとりとして目もくれなかった。用心深く妖気…

鴆と夜

 例えば恋の病と言うだろう? 名に『病』と付きながら本人はさておき、余程のことが無い限りそれは大したことないのが現状だ。それと同じ、一見大事そうに見えてそれほど悪いわけではない、要は気持ちの持ちよう、考え方次第、下手に手出ししなければいずれ…

邪魅昼【脛:服従】

「――邪魅?」 濡れ縁から青々と生い茂る桜の木を立ってじっと眺める男にリクオは声を掛ける。すっ、と音も無く振り向いた男の顔にはたくさんの護符が貼り付いているが、リクオは構わずにっこりと笑い、食べない? と手にしていた盆を掲げた。盆の上には水…

雪珱【指先:賞賛】

「……つう、」 小さな声と共にぴく、と肩を跳ねさせた珱姫に雪麗はまたかと呆れ顔をした。場所は奴良家の台所、女共は夕食の用意の真っ只中……そこに嫁いで来たばかりの珱姫も加わっていた。いつかはやらねばならぬこと、ついでに本人もやる気なのだからと…