小説

Adam’s CHERRY-8

 打ちっぱなしのアパートメントの屋上でぽつぽつと宿る街中の光を見つめながら、レイフェルは舌打ちをした。昼間は騒然とするこの街も、夜となればひどく閑静なものだ。木を隠すなら森の中、そう言うようにもしやと思いココに足を運んでみたが、ものの見事に…

Adam’s CHERRY-7 (R-18)

 以前メイラー・ハウゼンはレイフロの血を麻薬のようだと例えた。ならばと俺は嗤った。憐れなチェリーは麻薬で生きていたのだと。だが今にしてみればとんでもない話だと思う。なぜ闇の者達が高邁な人間を堕落させようとするのか。聖職者を誘惑してみせようと…

Adam’s CHERRY-6

 可笑しいと思わなかったのかい、アダム エヴァほどのヴァンパイアが飢血になるほど消耗したことに 同性しか反応しないはずなのに君の愛し子の血を欲したことに 忘れたのかい、アダム 君が大切なものを失うのに私は直接手を下す必要なんてないんだよ な…

Adam’s CHERRY-5 (R-18)

 熱い…あつい……あたまが、とける……。 つぅ、と雫が顎を伝い落ちる。一滴、二滴と。それがもう汗なのか開きっぱなしの口から溢れる唾液なのかクリス自身も分からなかった。「…ぁ…、アッ……マ、スター……も、ぅ…っ」 じゃらりと鎖の擦れる金属音。…

Adam’s CHERRY-4

  ——カシャンと微かな音を立て、最後の扉の錠が落ちる。そうすればシン……、と静寂が佇み、灯りひとつ届かない暗闇に支配された。男は最後の仕上げとばかりに指を牙に滑らせる。ざっくりと切れた傷口からとろりと溢れ出た血液はあっという間に膨れ、パタ…

Adam’s CHERRY-3

 誰かに血を与えることなど想像したこともなかったが、やってみれば案外こんなものなのかとレイフェルに血を与えながらぼんやりと思う。どこからが良いかと訊いて「首」と即答された時はさすがに身の危険を感じたが、レイフェルもレイフェルなりにこちらの意…

Adam’s CHERRY-2

 「だ~~か~~ら~~~〜! チェリーは働きすぎなんだ! 長期休暇を要求する!」 レイフロはそう叫びながらバン、と強く机を叩いた。衝撃で灰皿が軽く浮く。灰が少々飛び散り、傍にいたレイモンドが目を丸くするが知ったことではなかった。クリスの元か…

Adam’s CHERRY-1

「チェリーの分からず屋~~~!」「って……マスター⁉︎」 瞬く間も無くバサバサ、キィキィと渦巻く風と共に窓から飛び出していくコウモリの大群。煽られるようにふわりふわりと揺れるカーテン。しばし呆然とそれを眺め、やがてやってしまった…とでも言う…