小説

汝、ネコと和解せよ-2

「……ハァ~~~~……つっかれたァ……」まさかトリートメントひとつであんなに面倒な事になるなんて。ごりごりと肩を揉みながらレイフロはソファへと座り込む。本当に大変だった、あの後は……。唸るわ、暴れるわ、噛もうとするわ、逃げ出そうとするわで……

汝、ネコと和解せよ-1

時折思う。クリスはヴァンパイアハンターを辞めた代わりにトラブルハンターにでもなったんじゃないのかと。目の前の奇想天外な姿を見れば、誰だってそんなことを考えるだろう。一体何をどうしたらそんなことになるんだ! そんな――猫の耳としっぽを生やした…

○○しないと出られない部屋-1

目が覚めて、真っ白な空間が目に入った瞬間、レイフロは舌打ちをした。「あのクソったれ悪魔め……」白、白、白。どこまでも白く統一された、ベッドとサイドテーブル以外何もない、清潔さよりもただただ不気味さを感じさせる白い部屋の中をぐるりと見回し、再…

Adam’s CHERRY-10

 クリストファーのインタビューが載る雑誌を一通り眺め終えた後、レイフロはソファに腰かけたままグッと伸びをした。「フェロモンを垂れ流す世紀の色男……だってさァ」 最近は昼間ぐっすり眠ってるからかねぇ。そう呟いては、こちらに流し目を寄越し、ニヤ…

Adam’s CHERRY-9

 長い、長い、廊下を進む。レイフロの気配を追うように。オリジナルの残滓を辿るように。幾つもの扉を素通りし、レイフェルはたったひとつの目的地へと向かう。地下ココへ下りた時から答えは分かっていた。あそこにいるのだと。あそこに隠したのだと。分かり…