レイフロ×クリス(小説)

Adam’s CHERRY-10

 クリストファーのインタビューが載る雑誌を一通り眺め終えた後、レイフロはソファに腰かけたままグッと伸びをした。「フェロモンを垂れ流す世紀の色男……だってさァ」 最近は昼間ぐっすり眠ってるからかねぇ。そう呟いては、こちらに流し目を寄越し、ニヤ…

Adam’s CHERRY-9

 長い、長い、廊下を進む。レイフロの気配を追うように。オリジナルの残滓を辿るように。幾つもの扉を素通りし、レイフェルはたったひとつの目的地へと向かう。地下ココへ下りた時から答えは分かっていた。あそこにいるのだと。あそこに隠したのだと。分かり…

Adam’s CHERRY-8

 打ちっぱなしのアパートメントの屋上でぽつぽつと宿る街中の光を見つめながら、レイフェルは舌打ちをした。昼間は騒然とするこの街も、夜となればひどく閑静なものだ。木を隠すなら森の中、そう言うようにもしやと思いココに足を運んでみたが、ものの見事に…

Adam’s CHERRY-7 (R-18)

 以前メイラー・ハウゼンはレイフロの血を麻薬のようだと例えた。ならばと俺は嗤った。憐れなチェリーは麻薬で生きていたのだと。だが今にしてみればとんでもない話だと思う。なぜ闇の者達が高邁な人間を堕落させようとするのか。聖職者を誘惑してみせようと…

Adam’s CHERRY-6

 可笑しいと思わなかったのかい、アダム エヴァほどのヴァンパイアが飢血になるほど消耗したことに 同性しか反応しないはずなのに君の愛し子の血を欲したことに 忘れたのかい、アダム 君が大切なものを失うのに私は直接手を下す必要なんてないんだよ な…

Adam’s CHERRY-5 (R-18)

 熱い…あつい……あたまが、とける……。 つぅ、と雫が顎を伝い落ちる。一滴、二滴と。それがもう汗なのか開きっぱなしの口から溢れる唾液なのかクリス自身も分からなかった。「…ぁ…、アッ……マ、スター……も、ぅ…っ」 じゃらりと鎖の擦れる金属音。…

Adam’s CHERRY-4

  ——カシャンと微かな音を立て、最後の扉の錠が落ちる。そうすればシン……、と静寂が佇み、灯りひとつ届かない暗闇に支配された。男は最後の仕上げとばかりに指を牙に滑らせる。ざっくりと切れた傷口からとろりと溢れ出た血液はあっという間に膨れ、パタ…