最期まで、君と共に

ご近所さんの話 伍【大人夜と子昼でハロウィン】

「本当にお母さん、付いて行かなくても大丈夫?」「うん、平気だよ! 夜が誘ってくれたんだから危ないことはないでしょ? そんなに心配しないでよ」「ふふ、それもそうね。みんなも一緒だし危ないことなんて無いわよね。それじゃあ、みんな気を付けて行って…

ご近所さんの話 弐【大人夜と鴆(一部、鴆→夜)】

「……つまりだ、あんたはいつから衆道横切って稚児趣味になったんだ」「稚児とはまた粋も何も無いもんだ。もう少し違う言い回しが出来ないもんかねぇ」 稚児は稚児だろう。あんな子どものうちにさえ入らぬようなガキ相手に何やってるんだ! と怒鳴りたいも…

猫又物語【かくれんぼ】

 気持ちの良い風が吹き、生い茂った青い葉がさわさわと葉擦れの音を響かせる。季節は春から夏へ。花の盛りも疾うに過ぎたしだれ桜の上で、リクオは煙管を片手にのんびりと夜の帳が下りるのを眺めていた。夕暮れから夜へと変わっていく時間帯、妖怪たちの動き…

酒は飲んでも呑まれるな

 ――ねぇ誰、ここまで夜を酔わせたのは? 声には出ていなかったが、顔もにっこりと愛らしい笑みを浮かべていたが、周囲にいる者たちは皆、恐ろしい地響きのような低い昼若さまの言葉を耳にしたような気がした。 どうしてこうなったのかって? 答えは簡単…

異母兄弟パロ 肆(少し大きくなった子夜と子昼)

「……お前が望まなければ、オレはこれ以上の危害を加えない」 そういう誓約だ、だから安心しろ。そう言って押し倒したままの姿勢で、夜は昼の茶色い髪をさらりと指梳く。思った以上に優しい手つきに、もしかしたらこれは何かの冗談なのかもしれないという一…

異母兄弟パロ 参

 ざく、と貫く重い感触に手を滑らせないよう気を付けながら、ぐっと力を込める。鉄っぽい生臭い血の臭いに纏われながら斬り裂いた体は、切り口から血液や妖気を勢いよく噴き出し、屍と化した。初めの頃とは違い、飛び散る血液で身体に目立つ汚れを残すことは…

異母兄弟パロ 弐

 赤い夕焼けが空を染め、薄く白く浮かぶ月が輝かしかった太陽と入れ替わりを始める頃、縁側に軽い足取りで進む子どもの影が長く伸びる。この時間帯の子どもは少々元気が良すぎて、幾人かの屋敷の者たちは苦笑を零すのだが、子どもはお構いなしに今日も溌剌と…