夜のリクオ×昼のリクオ

夜と鴆

『――君は昼の世界の美しさを知らなくて、それなのに触れることを赦してあげられなくて……』「――だから昼のお前は、ごめん、と?」「あぁ」 綺麗な月を肴に縁側で鴆と月見酒と洒落込みながら、口火を切るようにそんな言葉を呟いた。夢現の世界、何を思っ…

夜と昼と夢の話

 ふと目が覚めた。とは言ってもまだ、うとうとした意識の中で、夢か現実かもよく分かっていない夢心地、また目を閉じてしまえばすぐにでも深い眠りに陥れるだろうくらいのうすぼんやりした感覚だった。それでもリクオはもぞもぞと布団の中を這いだして、ゆっ…

子夜と子昼の誕生日

 一年に一度訪れる日。昼はこの日が大好きだった。なんてったって、普段なかなか会えない遠くに住む者たちが家にやって来るし、そんなみんなは自分たちに一段と優しいし、宴会まで開いて楽しそうだし、なにより大きなケーキが食べられる。毎年決まったふわふ…

兄夜と弟昼

 ドクヒメサマの話を知っているかい? 漢字で書くと毒姫様……とある国の可哀想なお姫様の話なんだけどね、実は彼女、生まれた時から毒の温室の中で過ごしてきたすごいお姫様でもあるんだ。毒姫様のお友達はもっぱら毒蛇に毒蜘蛛、お食事は様々な毒の入った…

子夜と子昼とイタク

「あぁ、もう泣かないで、夜」 そう焦れたように昼が言ったのは、目の前で女々しく顔を伏せてしくしくと泣き続ける幼馴染にである。人間である昼と違って、美しい白銀の髪に紅い目を有した幼馴染は小さくとも明らかに人とは違う雰囲気を持っており、つまると…

正座

 オレの昼はどんな顔をしていても可愛らしい。その表情豊かな顔はくるくると絶えず喜怒哀楽を浮かべるし、小さな体も負けず劣らず分かりやすく動くからずっと見てて飽きない。ただ、それを眺めるのは己にとって楽な姿勢、又はそれなりに愉しめる姿勢を所望し…

子夜と子昼

 夫婦の間というのは子どもにはさっぱり分からないものである。いつもは構ってくれる両親も今日だけはべったり寄り添って全然相手にしてくれないし、おまけにちょっとお庭で遊んでおいで、なんて言うのだ。「……ってゆうことで、ね! おとうさんだけ、おか…