夜昼:自信家な彼のセリフ / By 確かに恋だった
「…おい、あんま見惚れてんじゃねぇよ」 そう言ってしだれ桜の木の上から、縁側に腰掛けるこちらへとじっと視線を落とした男にリクオは少しだけ頬を染めた。さっきまで遠く闇に浮かぶ月を見つめながら、気ままに煙官を口にしていた彼だったのだが、一体いつ…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
夜と羽衣狐に拐かされた昼パロ
あの時の自分は時よ、戻れと強く願っていた。子どもの心はあまりにも傷付きすぎて、弱まり続ける人の魂と強大過ぎる妖の魂の均衡が脆くも崩れ始め、ついには消滅へと向かい始めていたから。何も知らない、常に死と直面するような戦場などとは無縁だったあの…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
夜と鴆
『――君は昼の世界の美しさを知らなくて、それなのに触れることを赦してあげられなくて……』「――だから昼のお前は、ごめん、と?」「あぁ」 綺麗な月を肴に縁側で鴆と月見酒と洒落込みながら、口火を切るようにそんな言葉を呟いた。夢現の世界、何を思っ…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
夜と昼と夢の話
ふと目が覚めた。とは言ってもまだ、うとうとした意識の中で、夢か現実かもよく分かっていない夢心地、また目を閉じてしまえばすぐにでも深い眠りに陥れるだろうくらいのうすぼんやりした感覚だった。それでもリクオはもぞもぞと布団の中を這いだして、ゆっ…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
子夜と子昼で手袋を買いに
狐の呪いというものを知っているか。そうやって始まるのは偶に寝物語のように聞かされた話の冒頭で、昔も昔、遠い昔におじいさまがおばあさまを悪い狐から助けたところから始まる話であった。昔々、その昔、この世には悪い狐が住んでいて、綺麗な女の人を片…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
子夜と子昼の誕生日
一年に一度訪れる日。昼はこの日が大好きだった。なんてったって、普段なかなか会えない遠くに住む者たちが家にやって来るし、そんなみんなは自分たちに一段と優しいし、宴会まで開いて楽しそうだし、なにより大きなケーキが食べられる。毎年決まったふわふ…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
兄夜と弟昼
ドクヒメサマの話を知っているかい? 漢字で書くと毒姫様……とある国の可哀想なお姫様の話なんだけどね、実は彼女、生まれた時から毒の温室の中で過ごしてきたすごいお姫様でもあるんだ。毒姫様のお友達はもっぱら毒蛇に毒蜘蛛、お食事は様々な毒の入った…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
子夜と子昼とイタク
「あぁ、もう泣かないで、夜」 そう焦れたように昼が言ったのは、目の前で女々しく顔を伏せてしくしくと泣き続ける幼馴染にである。人間である昼と違って、美しい白銀の髪に紅い目を有した幼馴染は小さくとも明らかに人とは違う雰囲気を持っており、つまると…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
正座
オレの昼はどんな顔をしていても可愛らしい。その表情豊かな顔はくるくると絶えず喜怒哀楽を浮かべるし、小さな体も負けず劣らず分かりやすく動くからずっと見てて飽きない。ただ、それを眺めるのは己にとって楽な姿勢、又はそれなりに愉しめる姿勢を所望し…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ
子夜と子昼
夫婦の間というのは子どもにはさっぱり分からないものである。いつもは構ってくれる両親も今日だけはべったり寄り添って全然相手にしてくれないし、おまけにちょっとお庭で遊んでおいで、なんて言うのだ。「……ってゆうことで、ね! おとうさんだけ、おか…
最期まで、君と共に夜のリクオ×昼のリクオ