王様と違ってね。それでもいいの？ と問えば了承の意を表すようにプロンプトが唇を重ねる。
ざらざらと髭が当たり痛いだろうに、健気に舌先を触れさせ、くちづけを深めてくる様は存外悪くなく、アーデンは誘われるままに舌を絡ませた。
互いに音を立てて唇を吸い、舌の表面を擦り合わせ。歯列をなぞり、じゅわりと溢れる唾液をすすりあう。
熱い咥内が心地良く、交わる吐息に興奮する。
何度も何度も角度を変え、貪り合い、噛んで舐めて翻弄して。
うっとりとした表情を浮かべるプロンプトにアーデンは気を良くするも、すぐに以前と比べ明らかに手慣れたその様子にそっと眉をひそめた。
少し前までは息継ぎの仕方さえ知らなかったというのに、今では息を乱しているとは言え、随分慣れた様子のそれ──それを己の知らないうちに覚えたのかと思うと、プロンプトの身体に見え隠れする男の影が無性に気に入らなかった。
半ば八つ当たり気味に、アーデンは薄い筋肉のついた腹に手のひらを滑らせると、するすると円を描くようにゆっくりとそこを撫ぜる。
｢……プロンプト。王様はココもちゃんと可愛がってくれた？｣
この奥に眠る場所。雄のプロンプトがメスのようにイき狂い、乱れるそこを示して、撫でる動きからトントンと指で軽くノックする動きへと変える。
途端、くったりと力の抜けていた体がびくんと跳ね、強ばる。
そうして慌てて応えを返すようにか、はたまたいやいやと駄々を捏ねるようにか、怯え、必死に首を振るプロンプトに少しだけ機嫌を戻しつつも、アーデンはうっそりとわらったまま、指先の動きを止めず、そこから微量の魔力を送りこんだ。
「ひっ、…あぁ、ぁ──ッ！」
下腹をひくつかせ、ぶるぶると震える体。細く長い悲鳴。快楽神経を無理やり繋ぎ合わせた、完全ではない、中途半端に与えられる絶頂感にプロンプトは逃げ出すようにシーツの上でもがき、白い肢体をくねらせる。
脳イキ、反射、パブロフの犬──界隈ではどう呼ぶのだったか。
プロンプトの体を片手で押さえつけながら、アーデンは再び、激しく上下する腹をくるりと撫で回し、ノックした。
間髪入れず、プロンプトが啼く。二度、三度、痙攣を繰り返し、だらりと力が抜けた瞬間、また波が襲い、嬌声が上がる。
アーデンはゆるゆるとプロンプトの腹をさすりながら、教え込んだ反応を愉しんだ。
なんの変哲もない特定の動作を快楽へと結びつける。
そこから得られるのは例えようのない恍惚感だ。
とろんとした表情でだらしなく涎を垂らし、幸福感に包まれながらも、今一歩のところで熱に炙られ焦らされ続ける感覚。
終わりのない、脳内麻薬による快楽ともいう。
「王様に教えてあげなよ。君はココをこうして撫でられるだけで気持ちよくなれる身体なんだって」
指先でトントンと一定のリズムを刻む。
その度にプロンプトは水から揚げられた魚のごとくその身を跳ねさせ、シーツに数多の皺を作った。