ケイスケ×アキラ

ケイスケルート後。ケイスケと工場勤務するようになってからアキラはBl@sterへの参加を止めた。元々生活費を稼ぐためという理由も大きく、更に今となっては血が滾るような暴力への衝動も無いからだ。それでもずっと体を動かし続けてきたせいか、幼少期の戦闘訓練の賜物なのか、体や直感が鈍ることを良しとしない気持ちもある。そんな果てに思い付く。Bl@sterに参加せずともいるではないか。アキラと対等に、いやどちらかと言えばアキラより強い相手が。そう――――ケイスケが。

と思ってやりあってみるも、遠慮しているのか困惑しているのかケイスケはアキラの拳を避け続けるばかりで、アキラのフラストレーションは溜まるばかり。本気を出せと言うも眉を下げ、おろおろするしかしないケイスケにアキラはとうとう切れて一瞬の隙を突きケイスケの横腹へと拳を入れる。
「…………ッ!!」
息を呑んだのはどちらだったか。たぶんアキラの方だ。あのタイミングでは絶対避けきれないと思っていた拳が、ケイスケの腕によって阻まれている。
ビリビリと伝わる衝撃。絡まる視線。求めていた緊張と湧き出る高揚。自覚せず口端が上がる。好戦的に。感情的に。
最初は目を丸くしていたケイスケもつられたように口端を上げた。ようやく重い腰を上げたのがアキラにも分かった。もう避けはしない。互いにスイッチが入ったのが分かった。

突然手合わせをしろとアキラから言われ驚いた。いや、驚く以上に戸惑った。ケイスケはまだ自分の力を把握しきってはいない。意識してこれくらいは、という加減は分かっていても反射的に出る力に制御は効かないのだ。万が一にでもアキラに怪我をさせたら。そう思えば怖くて避けることしか出来なくなる。けれどそれでアキラが納得するはずもなく。どうしようと頭を抱えて隙が出来た。あ、という言葉も出なかった。ほとんど反射的だった。その重くて速い拳を止めたのは。
「…………ッ!!」
息を呑んだ。思っていた以上の衝撃にビリビリと腕が痺れた。それと同時に恥じた。力を手に入れてからどこかでアキラを下に見ていた自分に。
アキラは強い。純粋に。
息を詰め、見つめていると視線を上げたアキラが小さく口端を上げた。好戦的に。挑発するように。
驚いた。アキラがそんな顔をすることに。そして気が付いた。今、自分はアキラに対等に見られてることに。
つられるように知らずケイスケの口端が持ち上がる。下手に手加減なんかしてたらボコボコにされるな、と。

そうしてなんだかんだでケイスケは攻撃こそしてこないけど避け続けるのではなくアキラの拳を受け流すようにして手合わせを続けるんだけど、最後はやっぱりケイスケ、手を抜いたとかそういうのではなくアキラの顎に伝う汗が綺麗だな…とか一瞬そんなことに気を取られた隙に足払いをかけられゲームセットになる気がするんですよねえ。ケイスケは根本的にアキラに弱いから。アキラの危機にはバーサーカーなのにアキラ相手にはついつい隙が生まれるポンコツ犬。アキラに手を抜くなと怒られるけど本当に手なんか抜いてないんだよ。見惚れた一瞬を見逃さずトドメ刺すアキラが強いんだよ。納得してもらえないけどね。
そうやってストレス発散がてらちょいちょい手合わせしてるケイアキが見たい私でした。