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「…ますた、いかない…?」顔を上げた子供がずび、と鼻をすする。「それは本人に聞くといい」「ますた、いかない?」「…あぁ」ぎゅっと抱き上げる腕に力がこもる。「一緒がいいとお前が言ったんだろう?」

「…少なくとも私は君の倍の大きさをした男が、君の口にするであろう4、5倍の量の血を彼から飲む姿を見たことがあるが、残念ながら今も彼は生きて君を抱き上げているようだ」

「…?」「…察するにパンを口にすればその分なくなってしまうと?」ようやく子供の言わんとすることを理解するレイフロとアル。頭が痛いとばかりにアルは額を押さえる。

あの時と同じように子供は強く強くしがみつく。「…どこにも行かないだろう?」「…でも!」何かを思い出したようにぼろぼろと涙が溢れ落ちる。「…たべたらますた、なくなっちゃううぅ…」

「…血を飲むんだ」以前のように泣く子を前に折れてやることは出来ない。それは大事な者を失うことを意味するからだ。「…クリス、」「…ますたー、どこにもいかないで…!」

あの時と同じ、このままでは餓え死ぬだけだ。…いやそれよりももっと始末が悪い。「クリス、もう美味くても不味くてもパンやスープじゃ身にならない。それはお前も分かってるだろう?」

血の臭い。そしてクリスの泣きつく様。血を口にしていないことはすぐに分かった。「クリス、誰のでも良い。血を飲め」だがしがみつく腕が強まるだけで唸るように泣き続ける。

とうとうぼたぼたと大粒の涙を溢して泣き始める子どもの声にレイフロが扉から顔を覗かせればすがるように抱きついた。まるで北の町へ行けと言っても教会跡の地下室で待ち続けたあの時と同じように

「君の信仰に反するだろうが…」と呆れたようにアルがレイモンドを呼び手首を切らせる。滴る赤い血に涎を垂らして口を開こうとするが手で抑え首を振って拒絶する。

まぁ食べないよね。幼児だからか空腹の状況は割りと大きく影響して弱々しくなるもパンもスープも女レの血も首を振るだけで絶対口にしようとしない

記憶まで退化しているから血を受け付けないのか、パンなら口にするのかと無意味と分かっていても用意してみたりとポンコツとなったレイフロに代わり他メンバーでわいわいがやがやしてみるも…

なんかそこでレイフロは精神的にダメージを受けるのですよ…本来白の世界で生きるべき子を黒の世界に堕とした事実に、愛しき子どもに血を啜らせねばならない現実に頭を殴られたような衝撃と言うか